政府は農業振興の一貫として耕作放棄地に新税を考えているようです。意欲ある農家に集約を促すための政策ということです。
私は少し疑問を感じています。戦後しばらくは、食料不足対策として農業が大事な産業とされましたが、その後、都市部での工場の人手不足で農村地帯から都市部へ工場要員として人口の移動があったことが耕作放棄地がどんどん増えていった大きな要因であったはずです。
また、農家の高齢化や少子化による後継者不足などによる離農も耕作放棄地増加の大きな要因だと思います。
耕作できていない農地に税金がたくさんかかってしまうので手放したいと思っても、その地域に農業をしようとする人がいないと買ってくれる人も借りてくれる人もいないので農地としての活用の方法はないのです。地方の農村には利用してくれる人があれば活用してほしいと思っている農地保有者は多いと思います。
耕作放棄地の新税が農業の集約化に役立つとしても、それは耕作放棄地のごく一部のものであると思います。農業を他の産業に負けない魅力のあるものにして、農地所有者が農地を活用できる環境を作ることが一番大事だと思います。
税理士法人野口会計事務所 所長 野口泰弘