消費増税の陰に隠れてあまり話題となりませんが、今年から会社員の必要経費にあたる給与所得控除の仕組みが一部変わり、収入が多いと税負担が重くなります。
給与所得控除額は給与年収に応じて計算されますが、高収入者は控除出来る額に上限があります。2019年は年収が1,000万円を超えると控除額が220万円で頭打ちとなっていますが、2020年分からは年収850万円超だと195万円で頭打ちとなります。つまり控除出来る額が25万円減るうえに対象となる年収水準も下がるのです。多くの人が給与所得控除見直しの影響を受け税負担が増える可能性があります。
次に年金生活者の所得税を見てみましょう。国から厚生年金や国民年金、以前の勤め先から企業年金を受け取っている人の場合「公的年金控除」という仕組みがあり、年金収入から差し引いて所得を圧縮できるのです。
2019年までは控除額に上限はありませんでしたが、2020年から初めて設定されています。基準は「年金年収1,000万円超は195,5万円が控除上限」です。これだけ多額の収入がある人は限られますが、中には企業年金を含め高収入の方もおられます。将来、適用年収が引き下げられ増税になる人が増える可能性もあります。先に記した給与所得控除の縮小、実質的な増税もこれまでたびたび繰り返され、どんどん厳しいものとなっていますので心配です。
近年の日本の税制改正を見ていますと、個人の所得に対する税負担は相続税等の資産税を含めじわじわと増加傾向にあることは間違いありません。一方、法人所得に対する税は海外法人との競争上近年ずっと軽減が進められてきています。
個人で事業所得、不動産所得のある方は法人化を考えてみるのも大事な活動の一つと考えています。
私どもの事務所では相続の節税対策、子供たちが気持ちよく引き継いでくれる相続対策等と共に毎年の税金対策についても一緒に考えさせていただいています。
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税理士法人野口会計事務所 所長 野口泰弘