相続税の税務調査は、相続税の申告後1~2年後に行われることが多いです。相続税の申告件数は、平成27年の相続税の改正で基礎控除額の縮小により大幅に増えていますが、所得税や法人税に比べると申告件数が少ないため、高い確率で税務調査が行われています。
申告漏れが指摘される財産の種類で多いのは「現金・預貯金等」や「有価証券」などの金融資産です。これは、被相続人(亡くなられた方)名義の金融資産が漏れていたケースよりも、子や孫などの親族名義の金融資産ではあるものの実質的には被相続人の財産であるとされてしまったケースが多いようです。いわゆる「名義預金」とされてしまったものです。
相続税の対策も考えて毎年110万円以内の贈与をしているが、子や孫が無駄遣いをすることが心配で、子や孫に通帳の存在を知らせず、被相続人が通帳と印鑑を管理していたとか、子供や孫の預金通帳の印鑑が被相続人が使っていた印とおなじであったというようなことで、被相続人が子や孫の名前を借りただけの預金であって、子供や孫のものでなく被相続人のものだとされてしまうケースがあります。非常に残念です。
民法上、贈与は贈与する人と贈与を受ける人、両方の合意があってその効力が生ずるものとされています。さらに受贈者が贈与を受けた財産を自由に使える状況でない場合も贈与が出来ていないとされる心配があります。贈与の事実を立証できるように贈与契約書を毎年きちんと作成しておくことをお勧めします。署名は必ず自署で行うようにしましょう。それが合意のあったことの証明になります。
未成年者に贈与する場合は、幼少の子に代わって、親が受贈の意思を示し、親が財産を管理することで、贈与は成立するものとされています。親権者が意思表示をしたことを証明するために、贈与契約書の作成は必須といえるでしょう。
私どもの事務所では、ご相談くださる方と一緒に、相続税の最善の節税対策を考えます。また、相続発生後、申告書作成でも、最善の節税策を練ると同時に税務調査のことも充分に考えて仕事をさせていただいています。何でもご相談ください。
税務調査のことも充分考えて
税理士法人野口会計事務所 所長 野口泰弘