相続税の申告と納税は、被相続人が死亡された日の翌日から10ヶ月以内に行う必要があり、非常にタイトなスケジュールです。相続が発生してしまってから慌てないように、必要な手続きについてあらかじめ知っておくことも大事です。
今回は遺言書が出てきたときの「検認」について触れてみたいと思います。遺言書の検認とは遺言内容の改ざんや偽造を防止することと、自筆証書遺言の存在を確認するために、家庭裁判所が証明を行うことをいいます。遺言書の保管者または発見者は遺言者の死亡を知った後、速やかに遺言書を家庭裁判所に提出して検認手続きを行わなければなりません。なお、公正証書による遺言のほか、法務局において保管されている自筆証書遺言は、検認の必要はありません。
遺言書検認の手続きに必要な書類等
⑴ 遺言書 1通
⑵ 遺言書検認申立書 1通
⑶ 遺言者の出生時から死亡時までの戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本 1通
⑷ 申立人(遺言書を管理していた人など)の戸籍謄本、法人の場合登記簿謄本 1通
⑸ 相続人全員の戸籍謄本 1通
⑹ 申立人の印鑑
検認の申し立て後、家庭裁判所から検認期日(=検認を行う日付け)の通知が行われます。この通知は申し立て日から2週間ほどで来ます。通知は書面(郵送)ですが、まずは電話によるスケジュール調整が行われるのが一般的です。申し立て日から概ね1ヶ月内の期日で調整されることが多いようです。
検認期日に、家庭裁判所において遺言書の検認を受けます。遺言書を保管している人は、(封印されている遺言書は開封しない状態で)家庭裁判所に持参します。検認は家庭裁判所が申立人や相続人立ち会いのもとで遺言書を開封し、その遺言書の内容や検認を行った状況を検認調書に記録して行われます。検認には相続人全員で立ち合うことも出来ますが、申立人以外の相続人の立ち会いは任意です。
検認を終えたら、家庭裁判所から「検認済証明書」を発行してもらえます。この「検認済証明書」は遺言を執行するために必要な証明書で、たとえば自筆証書遺言によって不動産登記を行う場合、証券会社等で有価証券の名義変更をする場合、銀行等で預金等の名義変更をする場合等にはこの検認済証明書付きの遺言書が必要となります。
家族が亡くなられた後の相続人は49日が終わるころまでは色々と大変です。検認申立に必要な種々の書類の取り寄せや、遺言書をお預かりして申立人として申請手続きをさせてもらうことも大事な業務とさせていただいています。何でもご相談ください。
遺言書の検認手続き
税理士法人野口会計事務所 所長 野口泰弘