今年は2月17日から3月16日までが昨年1月1日から12月31日までの個人所得の確定申告の時期ですが、株式や投資信託などで資産運用をされている方も確定申告で節税になることがあります。
株式、投資信託、債券は証券会社の「源泉徴収ありの特定口座」で取引されていることが多いと思います。その口座では売却益や配当、分配金が出ると、そのたびに利益の20.315%が源泉徴収(天引き)されます。売却損が出た場合、その口座でそれまでに出ていた他の売却益や配当などと通算し、納めすぎの源泉税が自動的に還付されます。それでも年間で売却損が残った場合にどうするかです。
他の証券会社や銀行等での口座で株式や投資信託での配当や売却益が出ていれば、確定申告で損益通算ができ、他の口座の配当や売却益などから源泉徴収された税額が還付されます。
例えば、会社員Nさんは2つの証券会社の「源泉徴収ありの特定口座」で運用をしていました。n証券では100万円の損失があるが、d証券では50万円の利益がありました。この場合、確定申告すればNさんのその年の運用による所得はゼロでd証券の特定口座での源泉徴収された税金(50万円×20.315%=101,575円)が戻ることになります。
このケースでは、まだ50万円の損失があります。確定申告することにより、この損失を次の年から最長3年間繰り越せます。(損失の繰越控除といいます)
ただ注意しなければならないこともあります。上場株式等の譲渡所得及び配当所得等を確定申告することによって国民健康保険料が増額することもあります。また70歳以上の方の医療費の負担割合が変更になる等の不利となる可能性もあります。
このような心配がある方は所得税の確定申告書の提出とは別に、市民税・県民税申告書を提出することで住民税の課税方法は所得税の申告とは異なる「申告不要制度」の選択をしておくことが大事です。(平成29年度税制改正で所得税申告と異なる方法が選択できるようになりました)
私どもの事務所では相続税の節税対策はもちろん、毎年の所得税についても最大限の節税ができるように考えて仕事をさせていただいています。何でもご相談ください。
税理士法人野口会計事務所 所長 野口泰弘