親や配偶者が亡くなり、悲しみの癒える間もなく直面するのが相続税の問題です。2015年の税制改正による基礎控除額の引き下げで、普通の都市部に住居を持ち、老後の生活を心配しないでいいようにと預貯金を少し持っていただけの方が亡くなられた場合にも遺された家族は相続税の心配をしなければならないようになってしまいました。
相続税の納付が必要なのは遺産の総額が「基礎控除額」を超える場合です。期限は相続があって10ヶ月以内です。金銭納付が原則なので、遺産に占める預貯金の割合が小さいと不動産の売却など資産の現金化も必要となります。
まず遺産が基礎控除額の範囲内かを調べる。現預金はそのまま計上すればよいが、不動産や有価証券などには評価のルールがあります。330平方メートル以下の自宅の相続であれば、評価額を8割減らせる場合もあります。(但しこの評価減は相続申告手続きが必要要件となっています。)
基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の人数」で算出します。法定相続人には配偶者は常に相続人になり、子がいれば配偶者と子( 死亡している場合その子⦅孫⦆)が相続人になり、子がいなければ配偶者と直系尊属(父母、父母がいなければ祖父母)、子も直系尊属もいなければ配偶者と兄弟姉妹が相続人となります。
相続税額はいったん、法定相続人が法定分を相続したとみなして総額を計算します。配偶者と子の場合、配偶者が2分の1、残り2分の1を子で等分して相続したと仮定するわけです。そのうえで遺言であったり、遺産分割協議書で決めた割合に応じて税金を負担することになります。
不動産の評価をはじめ難しい事項も色々とありますが相続税の仕組みを知っておくこと、それが相続対策をする第一歩となると思っています。
私どもでは相続税の節税対策をはじめ納税対策、相続の分割対策、遺言書の活用対策等いろいろな相談をお受けしています。納税者の身になって色々と一緒に考えさせていただきます。何でもご相談ください。
税理士法人野口会計事務所 所長 野口泰弘