遺産分割で揉めて家庭裁判所に持ち込まれるという相続トラブルが多くなっているそうです。かつては「親の財産は長男が引き継ぐ」という考え方が残っていて、他の相続人もそれで納得していたためトラブルにはなりにくかったのだと思います。しかし戦後の民法による「相続は兄弟姉妹均等」という考え方が浸透するにつれ、以前の価値観を持つ親や長男と、それ以外の相続人が対立することが多くなってきたのだと思います。
親の遺産のほとんどが自宅の土地建物というケースも多く、均等に配分するのが難しいことがトラブルにつながっていることもあります。
また遺産分割で裁判所に持ち込まれたケースでは、遺産が5,000万円以下のケースが全体の3/4を占めているそうです。「相続で争うのは資産家」というイメージがありますが、実際は分けるものが比較的少額のほうがトラブルになりやすいと言えるようです。
財産があってもなくても、遺産の分け方を生前に充分に家族で考え、家族で話し合える環境作りが大事だと思います。自分の生前にはそのようなことが出来ないとすれば、遺産の分け方を生前に遺言書に書いておくなどの対策が大事だと思います。その遺言書には付言としてこのような分け方をした思いをきちんと記しておくことも大事です。
過去に係わらせていただいた遺言書にもとづき、相続手続きをさせていただいた1人の相続人から「自分としては遺言書の分割内容は納得しがたいものがあったが、付言に記されていた亡き父の想いを見て納得させてもらいました。」という言葉をいただきました。
遺言書作成にあたっても、法定相続人の最低相続分である「遺留分」の侵害といった難しい法律問題等もありますし、私どもではご相談くださる方と一緒に考え家族間でのトラブルをなるべく避けるように、かつ節税は最大限出来るように色々と相談にのらせていただいています。何なりとご相談ください。
税理士法人野口会計事務所 所長 野口泰弘