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人は立ち去り 島は消えゆく

 昨年暮れの新聞に、上記のような標題で瀬戸内海にある岡山県の黒島という離島から最後の一人が2ヶ月前に本州に移られ無人の島になってしまった。という記事を見ました。その最後の方は「この島に生かしてもらった。先祖の墓を、神社を、守りたいのだ。」と言われていたそうです。だが、年を重ねると体力の衰えはいかんともしがたく一人で生活することは出来なくなっての離島だったようです。その島の海の見える高台には墓が並ぶ。ただ墓石がない土台だけの墓所が見うけられるそうです。島はこうやって消えてゆくのかと思うとたまらなく寂しいものを感じます。
 私は玄界灘に浮かぶ壱岐という島(長崎県に帰属)の出身です。私が壱岐にいた頃の島の人口は5万人と言われていましたが、最近は27,000人を割る状態だそうです。特に近年の人口減少は大きいようです。
 私も高校卒業と同時に、長男ですが田畑、山林、お墓もほったらかしにして島を離れてしまいました。田畑、山林は荒れ放題です。お墓は地元で嫁いだ妹が見てくれているのですが、先祖の墓が3ヵ所数十基にもなっていた事もあり、「自分も年を取り大変だ」というので7年前に「野口家先祖供養塔」として墓石を一基にして守ってもらっています。
 私は家の跡継ぎでありながら、年に一回お盆の前後に墓参りに帰るだけになっています。私の代は妹に頼りながら祖母の50年祭(神道の家であるため)等行事をやってきましたが次の代、その次の代が壱岐での祭祀を行うことは無理だと思う。そう思い奈良に墓地の確保をしています。
 そのような状況なので、私も次の代も、その次の代も壱岐に帰るということは120%ないことになります。これが島の人口がどんどん減っていっている現状なのでしょう。冒頭の「黒島」のことを思い浮かべざるを得ません。しかし、壱岐に残って下さっている方々は色々と工夫をして島の活性化に努めて下さっています。
 観光の島としての取り組みも功を奏していると感じています。島に多くの観光客が訪れて下さり仕事が色々と発生すれば人口減少も止まり、風光明媚な島の存続が可能でしょう。そんなことを思いながら正月を送らせてもらいました。


税理士法人野口会計事務所 所長 野口泰弘
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