ご高齢のご婦人から「10年以上前に息子名義の預金を作ってやりました。息子に話すと無駄遣いをするので、息子には何も言わずに預金通帳は私が保管しています。10年も前のことなので、贈与税は時効が成立しているでしょうし、贈与税も相続税も課税されませんよね。」と話しがありました。
確かに、贈与税の時効は6年(悪質なケースでは7年)ですが、これは贈与税が成立している場合の時効です。子名義の預金通帳が10年前に作成されたものであっても、子がその預金の存在を知らないのであれば、贈与は成立しているとは言えず、贈与が成立していないのであれば、贈与税を納める必要はありません。ただ、その預金は親のもの(相続税の税務調査等でよく問題とされる”名義預金”)として取り扱われるため、相続が発生した場合は、相続税の課税対象となります。
贈与は、法律上 “あげます” “もらいます” が贈与者と受贈者の間で、きちんとした認識がないと成立はしないとされています。贈与者と受贈者の間の贈与の認識がきちんとあったことを示し、相続税の税務調査等で問題にされたりしないようにするため、贈与契約書の作成は大事です。
私どもでは色々な相続対策をご相談に来られる方と一緒に考えさせていただいていますが、将来発生するかもしれない税務調査で問題にされないように充分注意し、対策をねっています。何でもご相談ください。
税理士法人野口会計事務所 所長 野口泰弘