賃貸されている土地を購入された方が「土地の借主の方からこのような賃貸借契約書を結んでほしいという要請があったのですが、これで問題ありませんか」と賃貸借契約書案を持ってこられました。その賃貸借契約書には、賃貸終了時の保証金返済のことが記してありましたので、その土地購入時の売買契約書を見せてもらいましたが、保証金のことが書いてないのでこの土地購入の時その保証金〇〇〇万円の債務付の土地であることは聞いておられたのですね。と訊ねましたら「それは聞いていました」ということでした。それならその土地の売買契約時に保証金債務〇〇〇万円付の土地の売買であることを記しておくべきではないかと思いましたので、その土地の購入時の不動産仲介業者に聞いて下さいと依頼しましたら、不動産業者からの返事は” 関西では売買代金に預り保証金が含まれることになっています “とのことだったそうです。契約書の別記特約条項で平成××年×月×日付公正証書賃貸借契約を引き継ぐものとする。と記してあるので問題はないと思うとのことで、公正証書による賃貸借契約書のコピーが送られてきたそうです。
ご相談くださった方がその保証金債務を将来支払うことになることを承知しているのであれば賃借人との間の契約はそれでいいと思います。ただこの購入された土地を将来売却というときは契約書に基づき今回支払った購入代金とこの保証金債務がこの土地の取得価額になるので注意したいところです。売却という行為が何年先になるか、いや何代先になるかわからないので、今回購入された土地の売買契約書と一緒に今回の売主が過去に公正証書で契約された賃貸借契約書コピーにある保証金の金額にマーカーでもして一緒に大事に保管して下さいと伝えました。
私どもでは現在の節税だけでなく、将来何十年先になるかもしれない節税も充分に考えさせていただいています。何でもご相談ください。
土地取得時の保証金債務の引継ぎ
税理士法人野口会計事務所 所長 野口泰弘