先日訪ねて来られた方から、私たち夫婦には娘2人しかおらず、その2人とも遠くに嫁いでいます。その孫の1人ですが、将来奈良の家とお墓を守っていくとはっきり言ってくれているので、その孫を養子として受け入れて養子縁組をきちんとしておきたいのですが、相続税法上何か問題がありますか。という相談がありました。
養子は「子」として血縁のある実子と同じ立場となるため、養親が亡くなった場合には財産を相続することになります。養子がいる場合、相続税の計算上メリットはありますが、デメリットもあります。
メリット
⑴ 基礎控除額(3,000万円+600万円×相続人の人数)が増える。
⑵ 生命保険の非課税枠(500万円×相続人の人数)が増える。
⑶ 死亡退職金の非課税枠(500万円×相続人の人数)が増える。
⑷ 法定相続人が1人増えるので、相続税の総額が減少する可能性が高い。
上記の⑴⑵⑶⑷で使う相続人の人数に含める養子の数は被相続人に実の子供がいる場合は1人まで、実の子供がいない場合は2人までです。
⑸ 孫を養子としている場合は相続を一代飛ばすことが出来ます。
デメリット
⑴ 孫を養子にした場合には、その孫の相続税は2割加算となります。
⑵ 被相続人に実子がいて養子を迎える場合、相続税の計算においてメリットがあることが多いですが、相続人が増えることにより実子の法定相続分が少なくなるので争いの種になる可能性が出てきます。
ご相談くださった方にこのような話をさせてもらい、特にデメリット⑵のことがあるので、遺言書の作成をお薦めしました。遺言書には遺言執行人に私ども税理士法人を指定いただければ、ずっと先の将来、相続という事態が発生した時に遺言者の意向に乗っ取った相続手続きを速やかにさせていただきます。と、提案もさせていただきました。現在公正証書遺言書の作成の準備中です。
私どもの事務所では、ご相談くださる方の意向を充分にお聞きし、税金対策も充分に考えながら、その方の想いを将来きちんと実現出来るよう行っていくようにしています。
どんなことでも結構です。ご相談ください。
税理士法人野口会計事務所 所長 野口泰弘