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遺言で守る家族の絆

    先日、遺言の相談がありました。お父様が亡くなられた時はお母様がご健在で、お母様が主導的に分割案を作り、子供たちも何も不満を言わずに相続が済んだそうです。
 ところが、お母様が亡くなられた時は子供3人の間で揉めて分割するのに大変苦労されたそうです。今も感情のしこりは残ったままで、交流もほとんどない状態になっておられるそうです。それで、自分の相続で家族につらい思いをさせたくないので遺言を考えているのですが、どうしたものでしょうか。という相談です。
 確かに、遺産の相続をめぐる財産争いを防ぐために遺言書を活用する人は増えています。遺言書は財産を贈与する法的効果があり、相続におけるトラブルを防ぐ効果もあります。
 主な遺言には裁判官、検察官などの経験がある公証人が内容を聞いて文章にする「公正証書遺言」と自分で手書きした「自筆証書遺言」があります。自筆証書遺言は自筆で書くだけなので簡単ではありますが、法律要件等で後々トラブルになりやすいと言われています。今年7月からこの自筆証書遺言書の法務局での保管制度が新しく出来ています。公正証書遺言は公証人が作成するものですから法律要件等の心配はありません。
 私どもで遺言の相談を受け遺言書作成となれば自筆証書遺言でも法律上問題のないように充分指導させていただいていますが、公正証書遺言を一緒に考えさせていただくことも多いです。遺言の内容が決まれば私どもで必要なことを下書きし、それを見てもらった後、公証人役場に持ち込み、公証人役場でそれを遺言書の形にしてもらい、日時を決めて遺言する方と一緒に公証人役場に行き(証人2人は私ども事務所から)、公証人が読み上げることが自分の思いどうりかを遺言される方に確認してもらって公正証書遺言を完成します。
 遺言書がすべての相続人に気持ちよく納得してもらえる内容でないケースもあります。それで、そのように分割する理由や残される家族への想いを「付言」として記すようにアドバイスすることも多いです。
 私どもの事務所では相続税対策はもちろんのこと、残された親族間でいわゆる”争族”の問題を生じさせないための提案も色々とさせていただいています。何でもご相談ください。


税理士法人野口会計事務所 所長 野口泰弘

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