そもそもお盆とは先祖の霊があの世から家族のもとへ帰ってきて一緒に過ごすという行事だそうですが、両親とも九州出身の我が家には関西にお墓がなく、仏壇すらもありません。
昔からお盆には家族で集まって食事をするくらいで、子供たちにお盆について話す機会がありませんでした。かく言う私自身もお盆について語れるかどうか怪しいものです。
こんな我が家で83歳になる父親が突如、九州からお墓を引っ越さんといかん。と言い出しました。九州の親戚がみんな高齢になり、今後お墓を守ってくれる人がいなくなる。と言うのです。
お墓の引っ越しのことを改葬というのだそうですが、これが思っていたよりずいぶん大変で、新しいお墓を買って遺骨を移して何がしかの法要を行なっておしまい。というわけにはいかないのです。
改葬先の墓地を決めると「受入証明書」なるものを発行してくれます。それをもって現在の墓地のある役場に「改葬許可申請書」を貰い、現在の墓地管理者に埋蔵証明を受けます。申請書が受理されれば「改葬許可書」が発行され、ようやく遺骨の取り出しが許可されます。
この事務作業だけでもあちらこちらへハンコを貰いにかけずりまわることになるのですが、この後に現在のお墓で「閉眼供養」、新しいお墓で「納骨法要」をすることになります。
書類を揃えたり、宗教行事をこなしたり(こなすはないですよね。失礼しました。)、時間と労力が必要ですが、コスト面でも新しい墓地を購入するだけでなく、檀家を離れるための「離壇料」、閉眼供養や納骨法要へのお礼、以前のお墓をさら地に戻す代金などなど想定外の出費がかかることになります。以前のお墓と新しいお墓のお寺の宗派が違うようなケースでは、戒名もすべて作り直しなんてこともあるそうです。
こんなことから相続税対策のファーストステップはお墓作りからなんじゃないかな?なんて思いました。
相続税の心配はしなくてもよい我が家はさておき、お墓や仏壇・仏具等は骨董的な価値のあるものを除けば相続税がかからない財産なんですね。
それに自分の入る墓を自分で建てた父親はやはり新しいお墓により愛着を感じるようで掃除にも気合が入っているように思います。かく言う私もこのお墓に入ることになる訳で雑草とりにも力がはいります。
税理士法人野口会計事務所 所長代理 伊藤和夫