自分が亡くなった後、子供たちが相続で揉めることのないように遺言書を作っておきたいのですが、どうしたらよいかわからないので指導してほしい。との相談がありました。
その方は個人で不動産もお持ちですが、会社のオーナーでもあり会社の株式も大部分を所有されています。家の歴史も長くお墓等のお守りも含め家を継ぐことも大事な相続案件と思われます。お子さんは娘ばかり3人で、3人とも嫁がれておりその娘さんの子供(孫)の一人と養子縁組をされています。ただそのお孫さんはどうしても家に入ってくれそうにないという悩みを持たれており、今回は別の娘さんの子供(孫)が大学を卒業したら養子に入ってもいいと言っておられるようで、そのお孫さんはきちんと家を継ぎ、事業(会社)も継いでくれそうだということです。
そういうことが色々とあり遺言書をきちんと残しておいてあげないと自分が亡くなった後、遺産分割で揉めるようなことになっては大変との思いから相談にこられたようです。
主な遺言には自分で手書きする「自筆証書遺言」と裁判官、検察官などの経験がある公証人が内容を聞いて文章にする「公正証書遺言」があります。自筆証書遺言は自筆で書くだけなので簡単ですが、法律要件等で後々トラブルになりやすいと言われています。公正証書遺言は公証人が作成するものですから法律要件等の心配はありません。自筆証書遺言でも法律上問題のないように私どもで充分指導させていただきますが、今回は公正証書遺言を一緒に考えさせていただき、遺言執行者(遺言者に代わって遺言の内容を実現する人)の指定をいただくことになりました。相続人である奥様、娘さん3人、孫養子さん、養子予定のお孫さん、遺贈(養子になっていないお孫さん等で遺言で贈与)の方の住民票や戸籍謄本をそろえ、親族関係図を作り、不動産の登記簿謄本を揃え、会社の財産債務をきちんと調べ、財産の一覧表を作ります。財産をどのように引継いでもらうかを決めてもらいます。この時遺留分(法律で保障される最低の相続分)には注意したいです。この遺留分のこともあるので生前贈与分の明細も作ってもらうようにしています。遺言の内容が決まれば私どもで必要なことを下書きし、それを見ていただいた後に公証人役場に持ち込み、公証人役場で遺言書の形にしてもらい、日時を決めて遺言するご本人と一緒に公証人役場に行き(証人2人は私ども事務所から)公証人が読み上げる内容が自分の思い通りかを遺言される本人に確認してもらって公正証書遺言が完成します。
遺言書がすべての相続人に気持ちよく納得してもらえる内容でないケースもあります。それで、そのように分割する理由や残される親族への想いを「付言」として記すようにアドバイスすることも多いです。
私どもの事務所では相続税対策はもちろんのこと、残された親族間でいわゆる” 争族 “の問題を生じさせないための提案も色々とさせていただいています。何でもご相談ください。
税理士法人野口会計事務所 所長 野口泰弘